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ASDの人が職場でつまずきやすい理由とその対策──「ちょっとしたこと」が大きなストレスになる背景を知る  |松山市の心療内科・古町メンタルクリニック

■ 「普通に働くこと」がなぜこんなに苦しいのか?

一生懸命やっているのに、「気がきかない」「融通がきかない」と言われる

真面目に仕事をしているのに、ミスや誤解が多く評価されない

小さな出来事で頭が真っ白になり、家に帰るとぐったりしてしまう

職場でこうした悩みを抱える方のなかには、ASD(自閉スペクトラム症)という発達特性が関係していることがあります。

ASDの方は、仕事のスキル自体に問題がなくても、「人との距離感」「場の空気」「複数の情報処理」などで強いストレスを感じてしまうことがあります。
この記事では、ASDの人が職場でどんな場面につまずきやすいのか、その理由と対策、そして心療内科でできるサポートまでを、やさしく丁寧にご紹介します。

■ ASDの人が職場でつまずきやすいポイント

● ① 曖昧な指示が理解できない

「適当に仕上げておいて」

「前と同じ感じで」

「みんなの様子を見て判断して」

こうした“ふわっとした指示”は、ASDの方にとって非常に曖昧で、どう動けば正解なのか分かりづらいものです。
結果として「勝手にやった」「報告がない」と誤解されてしまうこともあります。

👉 対策:具体的な言葉・数値での指示をもらえるようにする/メモやマニュアルを自作することで再確認しやすくする

● ② 細かいところにこだわりすぎて、全体が見えない

書類のレイアウトやデータの順番に強くこだわってしまう

細部が気になりすぎて時間が足りなくなる

重要な部分を後回しにしてしまい、「要領が悪い」と見なされる

ASDの方は、一つのことに強く集中する一方で、“全体の流れ”をつかみにくい傾向があります。
几帳面さや正確さが武器になる反面、「柔軟に進める」「優先順位をつける」ことが苦手なため、周囲とギャップが生じやすくなります。

👉 対策:あらかじめ「どこまでやればOKか」を確認する/完璧よりも「まず完成させる」ことを目標にする

● ③ 緊張感が強く、常に気を使いすぎてしまう

「これで合ってるかな?」「迷惑かけてないかな?」と常に不安

少しの注意で深く傷つき、自信を失う

ミスを過剰に恐れて、報告・相談がしづらくなる

ASDの人は、対人関係において非常に敏感で、相手の反応に過度に注意を向けてしまう傾向があります。
「空気を読まない」と言われがちですが、実際には「読みすぎて、読み間違えて、自分を責めてしまう」ことが多いのです。

👉 対策:ミスをしても大丈夫な関係性・雰囲気づくり/信頼できる人と定期的に振り返りの時間を持つ

● ④ 雑談や人付き合いに疲れてしまう

話題が思いつかない、何を話せばいいか分からない

内輪のノリや冗談に入り込めず孤立感を感じる

無理に合わせて気疲れしてしまう

人とのやり取りが苦手なのではなく、雑談や会話の“ルールの見えなさ”が疲労を引き起こしているケースが多くあります。
参加しないと「協調性がない」と言われ、参加すると「うまく話せない」と苦しむ──そんな板挟みのような状況です。

👉 対策:雑談の場では聞き役にまわる/参加しない選択肢を持てることが大切

● ⑤ 予定外やトラブルに弱い

突然の仕事変更や呼び出しで思考が止まってしまう

混乱してパニックになり、動けなくなることもある

ASDの方は、「先を見通せること」で安心を保っているため、予定の変化に強い不安を感じます。
「柔軟性がない」「融通がきかない」と見られてしまうこともありますが、実際には「混乱を避けるための防衛反応」であることがほとんどです。

👉 対策:スケジュールの共有/急な変更時の対応マニュアルを用意しておく

■ 働きやすくするための工夫

● 1. 自分の特性を知る

まずは、「自分はどんなときに混乱するのか」「どんな状況がつらいのか」を整理してみましょう。

急な変更に弱い

感覚が過敏で集中できない

曖昧な言葉が苦手

雑談や空気読みがストレスになる

「できないこと」ではなく、「どんな条件があればうまくいくか」に注目することが大切です。

● 2. 対応方法・対策を具体化する

困りごと 工夫・対策の例

曖昧な指示が理解できない 「具体的に教えてください」と確認する/チェックリストを使う
感覚過敏で疲れる ノイズキャンセリングイヤホン・偏光眼鏡・こまめな休憩
報連相が苦手 メールやチャットでのやり取りを基本にする
話しかけにくい 決まったタイミングでの面談や報告の時間を作る

● 3. 周囲の理解・配慮を得る

職場に特性を伝えることも、一つの選択肢です。病名を言う必要はなく、以下のような形でも大丈夫です。

「曖昧な指示が分かりづらいので、具体的にお願いできると助かります」

「変更があると混乱しやすいため、事前に知らせてもらえるとありがたいです」

「人が多い場所では疲れやすいので、静かな環境で作業できると集中しやすいです」

周囲に伝えることで、「サポートを受けてもいいんだ」という安心感が生まれます。

■ 心療内科でできるサポート──「診断を受ける」ことは“レッテル”ではなく“取扱説明書”になる

古町メンタルクリニックでは、以下のようなサポートを行っています:

発達特性のアセスメント

ご本人へのフィードバックと日常生活の工夫提案

必要に応じた診断書や職場への説明文の作成

就労支援機関・産業医との連携

「診断されたら働きづらくなるのでは…」と心配される方もいますが、
自分の特性を言葉にできること、支援や配慮を正当に受けられるようになることは、大きな前進になります。

■ 一人で抱え込まないでください

「仕事が続かない」「評価されない」「疲れ果てて限界を感じている」──
そんなあなたは、本当によく頑張ってきたのだと思います。

ASDの特性は、環境ややり方が合えば、強みとして活かすこともできます。
まずは、「何がしんどいのか」「どこがズレているのか」を一緒に整理するところから始めてみませんか?

👉 ASDについて詳しくはこちら:https://komachi-mc.jp/guide/
👉 ご予約・お問い合わせ:https://komachi-mc.jp/contact/


👉 ASDの基本的な特性についてはこちら:https://komachi-mc.jp/guide/
👉 ADHDの人が見ている世界とは?:https://komachi-mc.jp/blog/adhd-world/

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