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- 2025.04.20
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ASD(自閉スペクトラム症)と「空気を読む」疲れ 〜“普通のふり”を頑張りすぎていませんか?〜 |松山市の心療内科・古町メンタルクリニックより
「会話についていけないけど、とりあえず頷く」
「違和感があるのに、周囲に合わせて笑ってしまう」
「“普通に振る舞う”だけで、ものすごく疲れる」
そんな経験、ありませんか?
実はこうした「空気を読むことの疲れ」は、ASD(自閉スペクトラム症)の特性によって引き起こされている可能性があります。
■ 空気は“読める”けど、自然ではない
ASDのある方は、必ずしも「空気が読めない」わけではありません。
むしろ、“読もうと努力しすぎてしまう”ことで、過度な緊張や疲労につながることが多いのです。
- 相手の表情や声のトーンを一つひとつ意識して読み取る
- 自分の発言が失礼になっていないか、何度も頭の中で反すうする
- 雑談のタイミングや話題の切り替えが難しく、無理に合わせる
こうした“努力型”のコミュニケーションは、見た目には問題なく見えても、内側では大きなエネルギーを消耗しています。
■ 「普通に見える」からこそ、つらさが伝わらない
ASDは、見た目ではわかりにくい発達特性です。
特に、大人になってから困りごとが表面化するタイプや、**女性に多い“隠れASD”**では、以下のような特徴があります。
- 子どもの頃は「おとなしくていい子」と言われていた
- “普通”のふりをして社会に溶け込んできた
- 自分が疲れていることに、周囲も自分も気づきにくい
そのため、つらさを誰にも理解してもらえず、孤独感を抱えやすくなります。
■ 「疲れる自分が悪い」と思っていませんか?
- なぜか人といるとぐったりする
- 失言が多い気がして、人と距離を置いてしまう
- 集団の中で浮いてしまう不安がある
これらは、努力不足や甘えではありません。
脳の情報処理の特性に由来する“生きづらさ”なのです。
ASDの方は、曖昧な会話や非言語的なやりとり(空気を読むこと)が苦手な反面、
- 興味のある分野には深く集中できる
- 観察力や記憶力に優れている
- 一貫したこだわりや誠実さを持っている
といった強みも多く持っています。
■ まず「知ること」からはじめてみませんか?
「なぜ自分はこうなんだろう?」
「どうして人と同じようにできないの?」
そう思い続けているなら、一度立ち止まって“自分の特性”を見つめ直してみることをおすすめします。
診断がすべてではありませんが、
自分の傾向や特性を知ることで、これまでのつらさに説明がつき、心がふっと軽くなることもあります。
■ 「空気を読まなきゃ」と頑張りすぎなくてもいい
大人になるほど、「人に合わせること」が当たり前とされます。
でもそれがしんどいなら、自分を守ることを優先してもいいのです。
古町メンタルクリニックでは、ASDや発達特性に関するご相談も受け付けています。
「話すだけでもちょっと楽になった」と感じる方も多くいらっしゃいます。
→ ASDの診療についてはこちら:https://komachi-mc.jp/guide/