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  • 2025.04.13
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ADHDの人が見ている世界とは?「できない」の理由を脳からひもとく              |松山市の心療内科・古町メンタルクリニックより

「忘れ物が多い」「じっとしていられない」「ギリギリまで動かない」
そんな自分に、落ち込んだことはありませんか?

ADHD(注意欠如・多動症)のある方にとって、“普通のこと”を“普通にやる”のが、ときにとても難しく感じられます。

でも、それは怠けているからではなく、脳の働き方が違うから
今回は、ADHDの人が見ている世界を、脳の特性とともにご紹介します。


■ 不注意:気をつけていても、抜けてしまう

  • 話を聞いていたつもりが、内容が頭に残っていない
  • 目の前の作業に集中していて、他の予定をすっかり忘れる
  • 説明や指示の一部が抜けてしまう

ADHDの方は、刺激の弱い情報(たとえば、人の指示やスケジュール、数字など)には注意が向きにくいという特性があります。
そのため、大事な情報ほどスルーしてしまう paradox(逆説的な現象)が起きることも。


■ ワーキングメモリが小さいという感覚

ADHDの方は“ワーキングメモリ(作業記憶)”が弱い傾向があります。
これは、脳内の“メモ帳”のような機能で、「情報を一時的に保持して処理する力」です。

  • 会話中に「相手の話」と「自分の返答」を同時に考えるのが難しい
  • 手順を頭の中で順番に整理できない
  • 買い物リストを2〜3個以上覚えておけない

不注意とワーキングメモリの弱さは、日常の「うっかり」や「できなさ」の背景に密接につながっています。


■ 多動・衝動性:じっとしていても、頭の中がうるさい

子ども時代のような“落ち着きのなさ”は、大人になると目立たなくなることがありますが、
その代わりに、

  • 頭の中で次々に考えが浮かぶ
  • 考えすぎて疲れてしまう
  • 話を遮ってでも言いたくなってしまう

など、「内面の多動」として現れることがあります。


■ 衝動・感情のコントロールが苦手:「ブレーキがきかない」「止まらない」

  • カッとなって言いすぎてしまう
  • 気がつくと勢いで行動してしまっている
  • 後から後悔することが多い

ADHDの方は、感情や衝動の“ブレーキ”が効きにくい傾向があります。
逆に、まったく動けなくなる「無反応」状態になることもあり、
“止まるか猛スピードか”という極端な反応になりやすいのが特徴です。


■ 過集中:止まらなくなってしまう集中力

  • 興味のあることに没頭しすぎる
  • 食事や睡眠も忘れて作業を続けてしまう
  • 終わったあとにどっと疲れる

ADHDの人は「集中できない」のではなく、集中のコントロールが難しいのです。
オンオフの切り替えが極端になりやすく、過集中の後は疲労が強く出ることもあります。


■ 時間感覚のずれ:「5分前」にならないと動けない

  • 会議や出発の準備がギリギリになる
  • 締め切り直前まで手をつけられない

これは、「時間に対する感覚」がずれているだけでなく、脳の報酬系が刺激に反応しにくいことが関係しています。
「切迫感」や「目の前の危機」がないと、脳が動き出せないのです。


■ デフォルトモードネットワーク(DMN):いつも頭が勝手に“おしゃべり”

脳には「ぼーっとしているとき」に働くネットワーク(DMN)があります。
ADHDの方ではこのDMNが過剰に働いている傾向があり、

  • 今に集中しているつもりでも、思考があちこちへ飛ぶ
  • 一人でいると、過去の後悔や未来の不安が浮かんでくる

といった状態が起きやすくなります。


■ 実行機能の障害:「手順がぐちゃぐちゃになる」「思考が枝分かれする」

  • 何から手をつけていいかわからない
  • 作業の途中で気がそれて、戻れなくなる
  • 途中で別のことを始めてしまい、結局終わらない

ADHDのある方は、行動の計画・整理・実行・完了を行う“実行機能”がうまく働きにくいことがあります。
思考が次々に枝分かれしていき、やろうとしていたことが見えなくなる…そんなことも少なくありません。


■ 大人になるとマシになる部分もある

多動や衝動性は、年齢とともに落ち着いてくることも多いです。
ただし、不注意やワーキングメモリの課題、疲れやすさなどは、環境やストレスによって浮き彫りになりやすい傾向があります。


■ 「努力不足」ではありません

ADHDの特性による「できなさ」は、決して努力が足りないからではありません。

むしろ、多くの方が人一倍努力し、「なんとかしよう」と工夫し続けてきた結果、
周囲に気づかれないほど頑張りすぎて、心や体が疲れきってしまうこともあります。

「わかってるのにできない」「また失敗した」――
そんな自分を責めてしまいがちですが、それは脳の働き方の違いによるものです。

まずは、
“うまくいかないのは自分のせいじゃない”と知ること
そこから、少しずつ自分に合ったやり方を見つけていくことが大切です。


■ 心療内科での相談も、一つの選択肢です

当院では、大人・子どものADHDの診断や相談、日常生活への支援も行っています。
「私もそうかもしれない」と感じたら、気軽にご相談ください。

→ ADHDについて詳しくはこちら:https://komachi-mc.jp/guide/

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