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発達障害・不安神経症から考える先延ばし癖― それは怠けではなく心のサイン   ┃松山市の心療内科・古町メンタルクリニックより

「やらなきゃいけないのに動けない」
「締め切り直前まで手がつかない」
「いつもギリギリになってしまう」

こんな“先延ばし”で悩んでいませんか?

先延ばしをしてしまうと、つい

「自分はだめだ」
「どうしてこんなこともできないんだろう」

と、心がしんどくなってしまいますよね。

でも、まずお伝えしたいのは――
先延ばしは、あなたの怠けや甘えではないということです。

特に、

  • 発達障害の特性がある方
  • 不安が強い方
  • 完璧主義の傾向がある方

にとって、先延ばしはとても身近でつらい問題になりやすいのです。

今日はこの先延ばしを、
発達障害や不安神経症という視点から、やさしくひも解いてみたいと思います。


先延ばしは「怠け」ではない

先延ばしを繰り返すと、多くの人はこう考えます。

  • 自分はだらしない
  • 意志が弱い
  • やる気がない人間だ

でも実は、先延ばしの背景にはさまざまな心の要因があります。
決して「根性の問題」ではありません。

むしろ臨床で出会うのは、

  • まじめで
  • 責任感が強く
  • 人に迷惑をかけたくない人

ほど先延ばしに苦しんでいる、という現実です。

「ちゃんとしたい」という気持ちが強い人ほど、
うまくいかない自分を責めてしまい、その苦しさがさらに先延ばしを強めてしまうこともあります。


発達障害と先延ばしの関係

先延ばしは、発達障害の特性ととても深く結びついています。
ここで大切なのは、先延ばしが“性格”ではなく、脳の得意・不得意と関係していることがあるという点です。


■ ASD(自閉スペクトラム症)と先延ばし

ASD傾向のある方では、次のような理由で先延ばしが起きやすくなります。

  • 見通しを立てるのが苦手
  • 優先順位をつけにくい
  • 手順がはっきりしないと動けない
  • 「どこから始めればいいか」わからない
  • 完璧にやろうとして固まってしまう

ASDの方は、「大まかに始めて途中で調整する」という進め方が苦手なことがあります。
そのため、見通しがはっきりしない状態では、

  • 何をどこまでやればいいのか
  • どの順番が正しいのか

が頭の中で渋滞してしまい、結果として動けなくなってしまうのです。

やる気がないのではなく、

「頭の中で整理する作業そのものが、とても大変」

なのです。


■ ADHD(注意欠如・多動症)と先延ばし

ADHDの特性がある方では、

  • 注意が散りやすい
  • 集中が続きにくい
  • 興味のない作業に取りかかれない
  • 締め切り直前でないとスイッチが入らない

といった理由で先延ばしが起こりやすくなります。

これは性格ではなく、
脳の「注意と実行機能」の特性によるものです。

頭では「やった方がいい」と分かっていても、
脳が“今すぐの危機”を感じないとスイッチが入りにくく、

  • 刺激の弱い作業は後回し
  • 期限が近づいて初めて動ける

ということが起こりやすくなります。


不安神経症と先延ばし

発達特性がなくても、不安が強いと先延ばしはとても起こりやすくなります。


■ 不安が生む“回避としての先延ばし”

不安神経症のある方では、

  • 失敗するのが怖い
  • ミスをしたらどうしよう
  • 人からどう思われるか心配

といった気持ちが強くなり、

「やるべきこと」よりも
「それに向き合う不安」のほうが大きくなります。

その結果、自然と

不安から逃げるための先延ばし

が起きてしまうのです。


完璧主義が先延ばしを強める

発達障害や不安と並んで、先延ばしをとても強くするのが「完璧主義」です。

しっかりやらなきゃ
完璧に仕上げなきゃ
中途半端にはできない
でも今は完璧にできる気がしない
だったら、もう少し後で…

“きちんとしよう”と思うほど苦しくなり、
その苦しさを避けるために先延ばししてしまう。

これは、とても自然な心の反応です。


どのタイプでも共通していること

先延ばしはほとんどの場合、

「怠けている」のではなく
「心の負担が大きすぎる」

状態で起きています。

先延ばし = 心が発している“しんどいよ”というサイン

とも言えるのです。


やさしい対処のヒント

― CBT(認知行動療法)的な考え方

先延ばしへの対処で大切なのは、
「もっとがんばる」ことではなく、考え方と行動をやさしく整えることです。


■ まずは考え方のくせに気づく

  • 「完璧にやらなきゃ」
  • 「失敗したら終わりだ」
  • 「今はまだ無理」

こうした自分を追い込む考えがないか、まずは“観察する”ことから始めます。


■ 考えをやさしく言いかえる

「完璧にやらなきゃ」
→「まずは60点で大丈夫」

「全部やらないと意味がない」
→「今日は最初の一歩だけでいい」

こうした言いかえが、心をぐっと軽くしてくれます。


■ 行動を小さく分ける

「レポートを書く」ではなく

  1. パソコンを開く
  2. ファイルを作る
  3. 最初の1行を書く

ここまで細かく分けてみましょう。

“今できる一歩だけやる”ことが大切です。


■ 5分ルール

「とりあえず5分だけ」

と決めると、意外と動き出せます。
動き始めると気持ちも少しずつついてきます。


■ 不安と一緒に動く練習

「不安がなくなったらやる」ではなく、

不安があっても、できる範囲で動く

という練習を少しずつ重ねていきます。


■ 手順の見える化

特にASD傾向のある方には、

  • やることを書き出す
  • 順番を決める
  • チェックをつける

といった工夫がとても有効です。


ひとりで抱えなくていい

先延ばしが強く、

  • 仕事に支障が出ている
  • 学校生活がうまくいかない
  • 自己嫌悪がつらい

というときは、発達特性や不安障害が関係していることが少なくありません。

それは“あなたの努力不足”ではなく、
心と脳のしくみの問題かもしれません。


さいごに

先延ばしをしてしまうあなたは、

弱い人でも
怠け者でも
だめな人でもありません。

発達障害や不安神経症の特性の中で、
精一杯がんばっている人です。

まずは、

“うまくいかないのは自分のせいじゃない”

と知ることから始めてみてください。

当院では、

  • 発達障害による先延ばし
  • 不安からくる先延ばし
  • 完璧主義による行きづまり

について、お一人おひとりに合わせたサポートを行っています。
つらいときは、どうぞお気軽にご相談ください。

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