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- 2025.05.17
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人生のテーマは変わっていく──年齢とともに現れる心の問いに、そっと耳を澄ます ┃松山市の心療内科・古町メンタルクリニックより
人は、ひとつの人生を歩んでいても、
そこに現れる「問い」は年齢とともに変わっていきます。
あるときは「誰かに認められたい」と願い、
あるときは「もう誰にも迷惑をかけたくない」と願う。
あるいは、「なぜ自分はここにいるのか」と、静かな孤独に包まれる夜もあるでしょう。
仕事でも家庭でもない、そのときの“心の中心”にあるテーマ──
それにそっと寄り添いながら、10代から80代までの人生を一緒にたどってみませんか?
■ 10代──「私はここにいていいのだろうか」
受験、不登校、友人関係、家庭の葛藤──この時期の毎日は、居場所探しの連続です。
- 自分の顔、声、性別、感情…どれも“好きになれない”自分。
- 学校に馴染めない、友達と心が通じない。
- 親に反発しながら、見守っていてほしいとも思う。
- 性への目覚めやアイデンティティの揺れに、誰にも言えずに悩む。
心の奥にある問い:
わたしは、わたしであっていい?
誰かと同じじゃなくても、ここにいて大丈夫?
■ 20代──「私は、何を選び、何をあきらめるのか」
就職、恋愛、結婚、親からの自立。選択肢の多さが、自由ではなく不安に変わっていく。
- 理想と現実のギャップに戸惑い、転職を考える。
- 「結婚は?」という周囲の声に、心が追いつかない。
- 家を出たのに、心はまだ親の目を気にしている。
- 自分を好きになりたいのに、自信が持てない。
心の奥にある問い:
この選択が、私の人生を決めてしまうの?
進んだ先に、“本当の私”はいるだろうか?
■ 30代──「私の人生は、誰のものだったのか」
育児、共働き、昇進、キャリアの悩み。「大人としてちゃんとしなきゃ」と自分を押し込める日々。
- 子育てに追われ、自分の感情を後回しにしている。
- 昇進したはずなのに、うれしさよりプレッシャーが勝る。
- 「このままでいいのか」と夜中にスマホを見ながらため息。
- 他人と比べてしまい、自分を小さく感じる。
心の奥にある問い:
この生活は、誰の人生だったんだろう?
私は、私を生きていると言えるのだろうか?
■ 40代──「私は、まだ変われるのだろうか」
親の介護、子どもの反抗、夫婦関係の停滞、職場での板挟み。自分の居場所がどこにも感じられない。
- 母の通院と、子の進路相談が同じ週に重なる。
- 夫婦で同じ家にいるのに、心が通っていない。
- 管理職としての責任がのしかかり、夜に眠れなくなる。
- 誰にも頼れない、弱音が吐けない自分がつらい。
心の奥にある問い:
このまま「諦めるように」老いていくの?
まだ、“もう一度始める”ことはできるだろうか?
■ 50代──「私は、何を手放し、何を残していくのか」
子の独立、親の死、更年期。人生の“空白”に、自分の価値が見えなくなる。
- 子どもの結婚式で涙を流しながら、「私の役割は終わった」と感じる。
- 退職が視野に入り、やりがいのあった仕事を誰かに託す不安。
- 長年連れ添ったパートナーとの会話が、気まずくなっていく。
- 時間はあるのに、心が動かない。
心の奥にある問い:
残された時間で、私は何を大切にしたい?
“役に立たない私”にも、意味があるのだろうか?
■ 60代──「人生が“自分のもの”に戻ったはずなのに、空っぽに感じる」
定年後、「何も予定がない日」が、自由ではなく不安になることがある。
- 再雇用での立場が曖昧で、職場に居場所を感じられない。
- 夫婦ふたりきりの時間が増え、会話の仕方がわからなくなる。
- 孫との時間は楽しいけれど、「これが私の人生の中心?」と感じてしまう。
- 趣味を持とうとするが、心がついてこない。
心の奥にある問い:
今からでも、“私らしい人生”は始められる?
誰のためでもなく、“自分のために生きる”って、どうすればいい?
■ 70代──「私はまだここに“いる”だろうか」
会話が減る日常。自分が「いてもいなくても変わらない存在」のように感じる瞬間。
- 配偶者の体調が悪くなり、毎日が病院との往復。
- 子どもからの「無理しないでね」が、距離に感じる。
- 「何かあったらすぐ連絡してね」と言われても、実際は連絡できない。
- 孤独に慣れてきたけれど、やっぱり“声”がほしい。
心の奥にある問い:
誰かに必要とされなくなっても、私は“在る”だけでいいのだろうか?
■ 80代──「この人生に、そっと“ありがとう”を言いたい」
人生を振り返りながら、日々を静かに生きている。
誰かに会いたい。誰かと笑いたい。
でも、それを言葉にするのが、だんだん難しくなってきた。
- パートナーを見送ったあと、会話のない時間が寂しくなる。
- 一人の食卓に、毎日同じテレビの声が流れている。
- 「迷惑をかけたくない」という思いが、誰かを頼ることを遠ざけてしまう。
- 今日も穏やかに終われたらいい──その願いだけが、心を温める。
心の奥にある問い:
何もしていない私、年老いた私。それでも、“よく生きてきた”と言えるだろうか?
■ 最後に──どんな出来事も、あなたが本気で生きてきた証
人生は、ときに思った以上に重く、鋭く、私たちの心を揺さぶってきます。
けれどそれは、あなたがその都度「真剣に向き合ってきた」という証拠でもあります。
受験で泣いた日。
育児で怒鳴ってしまった夜。
昇進が嬉しかったはずなのに、なぜか涙が出た日。
パートナーを見送ったあとの静寂──
そのすべてが、あなたという人間の物語を形づくっています。
悩むことは、弱さではありません。
問いを抱きながら生きることは、誠実に人生と向き合ってきた証です。
もし今、答えの出ない問いに苦しんでいたり、
心がふと立ち止まりたくなっているなら、
どうかそのままのあなたで、私たちのもとに来てください。
古町メンタルクリニックは、そうした「人生の節目で立ち止まる心」に、そっと寄り添える場所でありたいと願っています。
一緒に、その問いを見つめる時間を過ごせたら──
それが、私たちの小さな願いです。