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- 2025.06.27
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「やらなきゃ」ができないあなたへ──先延ばし癖とADHD・ASDの特性をやさしく見つめて |松山市の心療内科・古町メンタルクリニックより
「今日こそはやろう」と思っていたのに、また手をつけられなかった。
頭では分かっているのに、どうしても動けない。
自分にガッカリして、落ち込む…。
こんなふうに、“やらなきゃ”と分かっているのに動けない。
そんな「先延ばし癖」に悩んでいる方が、実はたくさんいらっしゃいます。
この悩みの背景には、ADHDやASDなどの発達特性がかかわっていることがあります。
「怠けてるだけ」と思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。
心と脳の働きに、ちょっとした“違い”があるだけなのです。
■ ADHD:「スイッチが入らない」「ギリギリにならないと動けない」
ADHD(注意欠如・多動症)の方に多く見られるのが、やる気スイッチの入りにくさです。
やるべきことがあるのに、なかなか始められない
締切が近づいてようやく動き出せる
一気に集中できるときもあるけれど、続かない
これは、「意志が弱いから」ではありません。
ADHDの脳は、刺激がないとエンジンがかかりにくい特性をもっています。
「動きたいのに動けない」こと自体がとてもつらく、自分を責めてしまいがちです。
■ ASD:「完璧を目指しすぎて始められない」「こだわって終わらない」
一方でASD(自閉スペクトラム症)の方は、強いこだわりや完璧主義が原因で、
始めるのも終わらせるのも、とても大きなハードルになりがちです。
中途半端に始めるのが気持ち悪い
細部が気になって、なかなか先に進めない
完成しても「もっと直さなきゃ」と終わらない
「完璧じゃなくてもいい」と頭では分かっているのに、心がそれを許してくれない──そんな苦しさが続きます。
■ 小さな一歩のはずが、大きな覚悟になってしまう
「たったこれだけのことなのに、なんでこんなに始められないんだろう…」
そう思ったことはありませんか?
本来はほんの小さな一歩のはずの行動が、まるで大きな山を登るような覚悟を必要としてしまうことがあります。
机に向かう
メールの一文を書く
資料を開くだけ
それすらも、ものすごく重たく感じてしまう。
ADHDやASDのある方にとって、それは「甘え」ではなく、特性による“見えない負荷”なのです。
■ 大切なのは「完璧」じゃなく「完了」
苦しみをやわらげる第一歩は、「完璧を目指さなくていい」と自分に許すことです。
今日は“やり始めた”だけでOK
中途半端でも、“ここまで”で一度終えてみる
5分間だけ頑張って、あとは休む
「完璧じゃないと意味がない」から、
「とにかく一度終わらせてみよう」へ。
その意識の転換が、少しずつ“動き出せる自分”を作ってくれます。
■ ひとりで抱え込まなくていい
この「先延ばし癖」、じつは心療内科で相談できることなんです。
ADHDやASDの特性を理解した上で、
・薬や認知行動療法による支援
・行動のコツを一緒に考えること
・「自分を責めない視点」を持つこと
など、さまざまな方法があります。
松山市の古町メンタルクリニックでも、こうしたお悩みに寄り添っています。
「このままじゃダメだ」と苦しんでいるなら、まずはその苦しさ自体をやわらげることから始めてみませんか?
小さな一歩が、とても重く感じる日もある。
でも、その一歩を踏み出そうとする気持ちは、
もうじゅうぶん「がんばっている証」です。
どうか、あなたのペースで。
わたしたちは、あなたが歩き出すその瞬間を、そっと支えます。