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- 2025.04.29
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ワーキングメモリーが弱いと感じたら──あなたに寄り添う工夫と心構え |松山市の心療内科・古町メンタルクリニック
はじめに
「話を聞いているのに、内容が頭に入ってこない」
「やらなきゃいけないことをすぐに忘れてしまう」──
そんなふうに、自分を責めてしまったことはありませんか。
このブログは、実際にたくさんの方からご相談を受けて作成したものです。
同じような悩みを抱えながらも、
「これくらい自分で何とかすべきなのかな」
「相談するほどのことじゃないのかな」
と、苦しみながらも誰にも言えずにいた方がたくさんいらっしゃいました。
実は、こうした困りごとの背景には、
「ワーキングメモリー(作業記憶)」という脳の働きの特性が関係していることがあります。
ここでは、まずワーキングメモリーとは何かをわかりやすくお話しして、
負担を少しでも減らすためにできる工夫や、心の持ち方について、ご紹介していきます。
どうか、安心して読んでみてください。
ワーキングメモリーとは?
ワーキングメモリーとは、
「一時的に情報を覚えながら、それを使って作業する力」のことです。
たとえば──
- 人の話を聞きながら、大事な部分を覚えて整理する
- 計算しながら途中の結果を頭にとどめておく
- いくつかのやることを順番に考えながら進める
私たちは、こうした「覚えながら行動する」作業を、日常のなかで無意識に行っています。
でも、ワーキングメモリーが弱いと──
- 話の途中で内容がわからなくなってしまう
- 複雑な指示を覚えきれず混乱してしまう
- 一度にたくさんのことを考えられずパニックになってしまう
こんなふうに、誰にも言えない小さな苦しみが積み重なってしまうことがあるのです。
あなたを少しでもラクにするために──負担を減らす工夫
ここからは、できるだけ心が疲れないように、
そっと助けになる工夫をお伝えしていきます。
無理をする必要はありません。
できそうなことから、少しずつで大丈夫です。
1. 頭の中だけで抱えこまない
「全部覚えておこう」とがんばらなくても大丈夫。
メモに頼ることは、甘えではありません。
- キーワードだけでもメモを取る
- やることリストを作る
- スケジュール帳やホワイトボードに書き出す
覚えておかなくてもいい環境を作ることで、頭と心がうんと軽くなります。
2. 情報を小さく分ける
たくさんのことを一度に処理するのは、大変なことです。
- 話を区切ってもらう
- 「一つずつ教えてください」とお願いする
- ひとつ話を聞いたら、ひとつメモする
焦らず、一歩ずつ。
「小さなかたまり」で受け止めるだけでも、すごいことです。
3. 目で見える情報を味方にする
言葉だけに頼らず、見える形で整理すると、ぐっとラクになります。
- 簡単な図や表にまとめる
- チェックリストを作る
- 話しながら、メモやホワイトボードに書いてもらう
自分のやり方でOK。
「これなら覚えやすいかも」と感じた方法を、ひとつ試してみてください。
4. すぐに確認・復唱する
うまく覚えられないのは、あなたのせいではありません。
- 聞きながら「つまりこういうことですか?」と確認する
- 指示を復唱して、メモしながら受け取る
間違ってしまう前に、立ち止まって確認する勇気も、とても大切です。
心構え──「できない自分」を責めないで
ワーキングメモリーが弱いということは、
頑張りが足りないわけでも、気が抜けているわけでもありません。
それでも日々、なんとかやろうとがんばっている自分に、
どうか、やさしくなってあげてください。
うまくできなかったときも、
「次は少し工夫してみよう」
「今回は無理だったけど、それでも大丈夫」
と、自分に声をかけてあげてくださいね。
最後に
「できないことが恥ずかしい」
「また迷惑をかけたらどうしよう」
そんな思いに押しつぶされそうになりながら、
それでもなんとか踏んばってきたあなたへ。
どうか、負担を軽くする工夫を試しながら、
少しずつ、あなた自身を大切にできる毎日を歩んでほしいと思っています。
そして、必要なときには、どうか遠慮せず、頼ってください。
私たちも、あなたをサポートするためにここにいます。
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