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カサンドラ症候群──「誰にもわかってもらえないつらさ」と、そこから始まる回復への道     |松山市の心療内科・古町メンタルクリニックより

カサンドラ症候群という言葉を知っていますか? 

これは、発達障害(特にASD)を持つパートナーと共に暮らす中で、定型発達の側の人が感じる「深い孤独感」と「共感されない苦しさ」表した概念です。

カサンドラ症候群という言葉が広まるにつれて、ようやく多くの人が「自分の苦しみには名前がある」と気づくようになりました。

けれど同時に、発達障害のある当事者側も「自分が周囲に迷惑をかけているのではないか」「自分のせいでパートナーが苦しんでいるのでは」と不安を強く感じるようになり、お互いに疲れてしまう関係も見られるようになっています。

–■ カサンドラ症候群の特徴とは?

カサンドラの人が苦しむのは、ただパートナーの特性だけが理由ではありません。

それ以上に大きいのは、周囲から理解されないこと、自分の感情や苦しみが“存在していないかのように”扱われることです。

ASDのある方は、職場や外の人との関係では「礼儀正しく、優しい」と見られることが多く、問題が見えにくくなります。

そのため、身近なパートナーが相談しても「いい人じゃない」「あなたの考えすぎでは」と返されてしまい、ますます孤立が深まります。

—■ 当事者側も、また別の孤独を抱えている

一方で、ASDなどの発達特性を持つ方にとっても、これはつらい状況です。

「どう頑張っても相手の気持ちがわからない」「空気が読めない自分が悪いのか」と自責に陥ることもあります。

特性ゆえに感情の表現や共感が苦手でも、パートナーを大切に思っている人は多く、「傷つけるつもりはなかったのに」とさらに混乱し、自己肯定感を失うこともあります。

—■ 回復の鍵は「特性を受け入れた関係性」にある

カサンドラ症候群の治療や回復において、非常に大きな影響を持つのは、「発達特性を持つ側が自分の特性を理解し、受け入れようとしているかどうか」です。

ASD側の人が「自分は共感が苦手かもしれない」「言葉にしないと伝わらないかもしれない」と意識することが、関係性を変える一歩になります。

同時に、カサンドラ側も「相手の行動には悪意がなかったのかもしれない」と視点を切り替えることができれば、少しずつ関係性の修復が始まります。

—■ できることから始めるために

1. 自分の感じていることを否定しない 

「気のせい」「わがまま」ではなく、それは本当の感情です。

2. 外部の支援を活用する 

心療内科やカウンセリングを受けることで、整理された視点が得られます。

3. パートナーの特性を学ぶ 

“なぜ伝わらないのか”を知ることが、怒りや諦めの軽減につながることもあります。

4. 「共感」ではなく「理解の試み」を育てる

 お互いに“わかろうとする努力”が見えるだけでも、孤独はやわらぎます。

—■ おわりに──

「誰かにわかってもらえること」から始まるカサンドラ症候群の一番の苦しみは、「誰にもわかってもらえないこと」です。

でも、こうして言葉にできた今、その苦しみはもう“あなた一人のもの”ではありません。

もし、心が壊れそうなほどつらいときは、どうか医療機関や支援者にご相談ください。

私たちは、あなたの感じている「つらさ」が確かにここにあることを、何よりも大切にしたいと思っています。

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